(Penny Dreadful(ペニードレッドフル、以下PD)ってなんだよという方は例によってこのくーんさんの記事をご一読ください。
http://www.kuunmtg.com/entry/2018/06/15/170531 )
とんでもない軌道の台風が列島に上陸している今日この頃、皆様いかがお過ごしだろうか。いや、こんな挨拶は野暮というものだ。なにしろ当日記の読者は当然PDを楽しんでいるだろうから。
ところで、全宇宙290兆人のPDプレイヤーの皆様の中に、PDリーグのメタゲームついて気になった方はいないだろうか。公式サイトではアーキタイプの一覧や使用率が上がっているカードのランキング、参加デッキリストの一覧などは掲載されているが、タイムリーにリーグの環境が分析されているようなものはなかったはずだ。外部では詳細な分析をしている所があるかもしれないが、少なくとも日本語のサイトでそのようなものは存在しないだろうと思う。
そこで、「『今』のPDリーグはどうなっているのか」の分析を目的とした記事を作成することにした。現在ほぼ手動でデッキの集計をしているため、気力が続かずに立ち消えする可能性は大いにあるが、何とか毎週更新を目指している。この記事がPDプレイヤーの方々はもちろん、PDに触れたことのない方までもが、PDの「今」に興味を持つことの一助になれば幸いだ。
なお、リーグ分析を思い立ったのが7/25だったので、とても中途半端な期間の集計になっているが、ご容赦を願いたい。今後は1週間スパンで集計と記事の作成を行うつもりだ。
○デッキタイプから見る今週のPDリーグ
この5日間でPDリーグに登録がされたデッキは180個(7/29 16時30分時点)。
うち3勝以上、勝ち越しを達成したデッキは81個だ。さらに勝ち越しデッキのアーキタイプ内訳を見てみると、
アグロ:21
ミッドレンジ:26
コントロール:21
コンボ:13
となっている。アーキタイプの分類は私の主観なので多少の誤差はあるだろうが、デッキの種類だけで見れば極めてバランスのとれた環境だといえる。
しかし、現在PDをプレイしている方や、私の先日のPD紹介記事を読んだ方はご存じだろうが、現在のPDでは《雲上の座》と《繰り返す悪夢》及び《生ける屍》を使用することができる。これらのカードを使用したデッキ、つまり《Post》と各種リアニメイトデッキが環境を支配しているというのが大方の予想である。
では勝ち越しデッキのうちにそれらのデッキがいくつ存在しているかを見てみると、
Post使用デッキ:11
リアニメイト使用デッキ(生ける屍・繰り返す悪夢どちらかを採用したデッキ):14
となっている。Postとリアニメイト両方を合わせても3割にも達していない。どちらのデッキタイプもとても強力なデッキ・カード群として知られており、だからこそ環境を支配しているであろうという予測が立てられていたわけだが、現在のPDリーグではそれほど勝ち切れているわけではないということがデータに表れている。
ちなみに「4勝以上」の条件でも43デッキのうちPostが7個・リアニメイトが7個とやはり3割に達していない。「5勝」なら10デッキのうち1個ずつだ。勝利数の条件を外したとしても、180デッキのうちPost33、リアニメイト30個とやはりそれほどの数ではない。
○「殺意」を向けられた両デッキ
なぜPostとリアニはここまで勝ち切れておらず、ここまで数を減らしているのか。この理由は簡潔かつ明確だ。「対策されているから」である。
今シーズンが始まる以前の段階から意識されていたPost・リアニメイトのうち、リアニメイトに対してはかなり早い段階から強烈に対策がされるようになっていた。《次元の狭間/Planar Void》や《スランの鋳造所/Thran Foundry》といった墓地全体に干渉するカードのサイドボードへの投入は勿論、《スカラベの饗宴/Scarab Feast》《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》のような腐りづらい墓地対策がメインボートから採用され、挙句の果てには《記憶の旅/Memory’s Journey》《クローサ流再利用/Krosan Reclamation》のような「ちょっと墓地に触るだけ」のカードすら見かけるようになった。墓地に干渉するカードがプール全体から駆り出されるという状態であり、前環境に比べて有用な墓地対策カードが減ったにも関わらず、おいそれとリアニメイトができるような環境ではなくなっている。
ではPostはというと、土地に触れるカードの中に有用なものが見つからなかったということもあり、リアニメイトほどの殺意は向けられてはいなかった。いや、多くのプレイヤーから殺意自体は向けられていただろうが、それを具現化するような武器がなかった。《ドワーフの爆風掘り/Dwarven Blastminer》が現れるまでは。
このドワーフの登場がPostデッキの減少の直接的な要因であろう。何せこのドワーフをメインに採用するデッキまでも現れたのだから。毎ターン一つずつ、しかもマナとタップのみがコストの起動型能力によって土地を壊されて、無事でいられるデッキの方が少ない。更に《破壊の衝動/Destructive Urge》も発見され、一部では《Goblin Settler》の他、《汚染された地/Contaminated Ground》のようなエンチャントも採用されるようになっている。リアニメイトと同様、Postもついに殺意に晒されるようになったのである。
このため現在のPostデッキは安易な多色化はせず、単色でPost以外の土地はすべて基本地形にしたり、マナファクトによって土地によらないマナ供給を行うタイプが主流となりつつある。
○今週の総括
色ごとで今週の勝ち越しデッキを見ると、青を使用したデッキが81個中50個となっている。他の色が多くても40個弱なので、青は一つだけ抜けているといえる。とはいえ一人去っているような色もなく、特段青が支配的というわけでもないので、やはり良環境といえるだろう。
特筆すべきは純コントロールの復権だ。勝ち越しデッキのうち14個がPost不使用のコントロールデッキとなっている。環境がある程度固まり、倒すべき相手が定まったことが復権の理由であろう。14のコントロールのうちの10個が赤を採用し、前述のドワーフの爆風掘りをサイドに投入しているというのも環境を表している。ちなみにこのドワーフは特殊地形なら何でも叩き割るので、多色コントロールも潰してしまうカードとなっている。コントロールミラーですらこのドワーフのために軽量除去をサイド後に抜けないのだから面白い。
以上が今週のPDリーグめたげーむぶれいくだうんだ。いろいろ書けることもあるだろうが、何から何まで書いているとキリがないのでこれで留めておく。もし何か要望があれば、コメントなりツイッターなりディスコードなりで仰っていただければ、できる範囲で反映していくようになるかもしれない。そもそもこの記事は今週で打ち切りかもしれない。私は何もわからない。知らん。
というわけで奇跡が起こればまた次回。楽しいPDライフを!
http://www.kuunmtg.com/entry/2018/06/15/170531 )
とんでもない軌道の台風が列島に上陸している今日この頃、皆様いかがお過ごしだろうか。いや、こんな挨拶は野暮というものだ。なにしろ当日記の読者は当然PDを楽しんでいるだろうから。
ところで、全宇宙290兆人のPDプレイヤーの皆様の中に、PDリーグのメタゲームついて気になった方はいないだろうか。公式サイトではアーキタイプの一覧や使用率が上がっているカードのランキング、参加デッキリストの一覧などは掲載されているが、タイムリーにリーグの環境が分析されているようなものはなかったはずだ。外部では詳細な分析をしている所があるかもしれないが、少なくとも日本語のサイトでそのようなものは存在しないだろうと思う。
そこで、「『今』のPDリーグはどうなっているのか」の分析を目的とした記事を作成することにした。現在ほぼ手動でデッキの集計をしているため、気力が続かずに立ち消えする可能性は大いにあるが、何とか毎週更新を目指している。この記事がPDプレイヤーの方々はもちろん、PDに触れたことのない方までもが、PDの「今」に興味を持つことの一助になれば幸いだ。
なお、リーグ分析を思い立ったのが7/25だったので、とても中途半端な期間の集計になっているが、ご容赦を願いたい。今後は1週間スパンで集計と記事の作成を行うつもりだ。
○デッキタイプから見る今週のPDリーグ
この5日間でPDリーグに登録がされたデッキは180個(7/29 16時30分時点)。
うち3勝以上、勝ち越しを達成したデッキは81個だ。さらに勝ち越しデッキのアーキタイプ内訳を見てみると、
アグロ:21
ミッドレンジ:26
コントロール:21
コンボ:13
となっている。アーキタイプの分類は私の主観なので多少の誤差はあるだろうが、デッキの種類だけで見れば極めてバランスのとれた環境だといえる。
しかし、現在PDをプレイしている方や、私の先日のPD紹介記事を読んだ方はご存じだろうが、現在のPDでは《雲上の座》と《繰り返す悪夢》及び《生ける屍》を使用することができる。これらのカードを使用したデッキ、つまり《Post》と各種リアニメイトデッキが環境を支配しているというのが大方の予想である。
では勝ち越しデッキのうちにそれらのデッキがいくつ存在しているかを見てみると、
Post使用デッキ:11
リアニメイト使用デッキ(生ける屍・繰り返す悪夢どちらかを採用したデッキ):14
となっている。Postとリアニメイト両方を合わせても3割にも達していない。どちらのデッキタイプもとても強力なデッキ・カード群として知られており、だからこそ環境を支配しているであろうという予測が立てられていたわけだが、現在のPDリーグではそれほど勝ち切れているわけではないということがデータに表れている。
ちなみに「4勝以上」の条件でも43デッキのうちPostが7個・リアニメイトが7個とやはり3割に達していない。「5勝」なら10デッキのうち1個ずつだ。勝利数の条件を外したとしても、180デッキのうちPost33、リアニメイト30個とやはりそれほどの数ではない。
○「殺意」を向けられた両デッキ
なぜPostとリアニはここまで勝ち切れておらず、ここまで数を減らしているのか。この理由は簡潔かつ明確だ。「対策されているから」である。
今シーズンが始まる以前の段階から意識されていたPost・リアニメイトのうち、リアニメイトに対してはかなり早い段階から強烈に対策がされるようになっていた。《次元の狭間/Planar Void》や《スランの鋳造所/Thran Foundry》といった墓地全体に干渉するカードのサイドボードへの投入は勿論、《スカラベの饗宴/Scarab Feast》《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》のような腐りづらい墓地対策がメインボートから採用され、挙句の果てには《記憶の旅/Memory’s Journey》《クローサ流再利用/Krosan Reclamation》のような「ちょっと墓地に触るだけ」のカードすら見かけるようになった。墓地に干渉するカードがプール全体から駆り出されるという状態であり、前環境に比べて有用な墓地対策カードが減ったにも関わらず、おいそれとリアニメイトができるような環境ではなくなっている。
ではPostはというと、土地に触れるカードの中に有用なものが見つからなかったということもあり、リアニメイトほどの殺意は向けられてはいなかった。いや、多くのプレイヤーから殺意自体は向けられていただろうが、それを具現化するような武器がなかった。《ドワーフの爆風掘り/Dwarven Blastminer》が現れるまでは。
このドワーフの登場がPostデッキの減少の直接的な要因であろう。何せこのドワーフをメインに採用するデッキまでも現れたのだから。毎ターン一つずつ、しかもマナとタップのみがコストの起動型能力によって土地を壊されて、無事でいられるデッキの方が少ない。更に《破壊の衝動/Destructive Urge》も発見され、一部では《Goblin Settler》の他、《汚染された地/Contaminated Ground》のようなエンチャントも採用されるようになっている。リアニメイトと同様、Postもついに殺意に晒されるようになったのである。
このため現在のPostデッキは安易な多色化はせず、単色でPost以外の土地はすべて基本地形にしたり、マナファクトによって土地によらないマナ供給を行うタイプが主流となりつつある。
○今週の総括
色ごとで今週の勝ち越しデッキを見ると、青を使用したデッキが81個中50個となっている。他の色が多くても40個弱なので、青は一つだけ抜けているといえる。とはいえ一人去っているような色もなく、特段青が支配的というわけでもないので、やはり良環境といえるだろう。
特筆すべきは純コントロールの復権だ。勝ち越しデッキのうち14個がPost不使用のコントロールデッキとなっている。環境がある程度固まり、倒すべき相手が定まったことが復権の理由であろう。14のコントロールのうちの10個が赤を採用し、前述のドワーフの爆風掘りをサイドに投入しているというのも環境を表している。ちなみにこのドワーフは特殊地形なら何でも叩き割るので、多色コントロールも潰してしまうカードとなっている。コントロールミラーですらこのドワーフのために軽量除去をサイド後に抜けないのだから面白い。
以上が今週のPDリーグめたげーむぶれいくだうんだ。いろいろ書けることもあるだろうが、何から何まで書いているとキリがないのでこれで留めておく。もし何か要望があれば、コメントなりツイッターなりディスコードなりで仰っていただければ、できる範囲で反映していくようになるかもしれない。そもそもこの記事は今週で打ち切りかもしれない。私は何もわからない。知らん。
というわけで奇跡が起こればまた次回。楽しいPDライフを!
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