M19の発売により楽しい新スタンダード環境が始まったが、ペニードレッドフルでも先日シーズン9が開幕した。ペニードレッドフル(以下PD)ってなんだよという方は例によってこのくーんさんの記事をご一読ください。
http://www.kuunmtg.com/entry/2018/06/15/170531
PD界隈では開幕前からローテ入りするカードの候補が大きな話題を巻き起こしていたが、蓋をあけてみると《雲上の座》(と《微光地》)や《繰り返す悪夢》、そして《Demonic Consultation》など、歴史にその名を刻んだ強力カードが複数ローテ入りを果たした。この3種だけでもかなりのインパクトだが、さらに《精神の願望》が使用可能になる可能性もあったのだから恐ろしい。幸か不幸か精神の願望は入ってくることはなかったが、今シーズンの使用可能プールは錚々たるラインナップとなった。
さて、極めて乱暴に現PDに存在するデッキのアーキタイプを分別すると、
【post】【リアニメイト】【その他】
の3つである。無論一言にpostといっても色やコンセプトの違うデッキはたくさんあるし、リアニメイトも同様だが、大筋の戦略は同一なのでこのような区分をしてしまっても大きな問題はないと思う。要は墓地利用デッキと特殊なビッグマナデッキが猛威を振るっているというわけだ。ことリアニメイトについては上述した繰り返す悪夢に加えて、《生ける屍》や《隠遁ドルイド》なども使用可能なため人気が高い。またDemonic Consultation、通称デモコンのおかげで黒いデッキは動きの安定性も高い。おかげでデモコンに関してはカード価格が暴騰しており、なんとローテ入り前の100倍近い値段となった。…元が一円だが。
ではpostとリアニ以外人権はないのかというとそうでもない。例えば赤単アグロは今環境で《ミシュラのアンク》を獲得している。postを含めた低速デッキに対して2ターン目に設置すれば実質2キルになることもあり、凄まじい圧力で相手のライフを削り取る。また、《ラノワールの使者ロフェロス》を主軸にした緑系デッキもあれば、《霊異種》などをフィニッシャーに据えたオーソドックスなコントロールも少数ではあるが存在する。また、トップメタを意識したデッキ、例えば土地破壊主体のデッキや墓地対策をメインから無理なく採用したデッキも生まれている。つまり結局は今環境のPDもビルダーの楽園なのである。どんなカードが使用できようと、PDが素晴らしいフォーマットなことに変わりはない。
せっかくなので、現環境のデッキを一つ紹介。主流のデッキではないが、メタゲーム上位のデッキを打ち負かす程度のパワーはある強力なデッキだ。
クリーチャー:27
4:《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》
2:《組み直しの骸骨/Reassembling Skeleton》
4:《捕らわれの宿主/Carrier Thrall》
4:《ズーラポートの殺し屋/Zulaport Cutthroat》
3:《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》
2:《スカースダグの高僧/Skirsdag High Priest》
4:《マラキールの門番/Gatekeeper of Malakir》
4:《不気味な腸卜師/Grim Haruspex》
呪文:10
3:《悪魔の相談/Demonic Consultation》
2:《スカラベの饗宴/Scarab Feast》
3:《不死の隷従/Immortal Servitude》
2:《吸血の儀式/Vampiric Rites》
土地:23
19:《沼/Swamp》
4:《栄光の砂漠/Desert of the Glorified》
サイドボード:15
1:《スラルの外科医/Thrull Surgeon》
4:《皮裂き/Skinrender》
2:《渇望の時/Moment of Craving》
4:《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》
3:《心臓露呈/Lay Bare the Heart》
1:《夜更かし/Midnight Oil》
強力なデッキと言いながら、とても貧弱な生物のラインナップである。黒単で組まれたこのデッキは、いわゆるハスクやアリストクラッツと呼ばれる類のデッキだ。生物をサクリファイスすることで様々なアドバンテージを得られるように構築されており、各カードがそれぞれに高いシナジーを形成している。
デッキの動きとしては、序盤は《捕らわれの宿主》や《マラキールの門番》などを展開してちまちま殴っていく。《血の座の吸血鬼》や《吸血の儀式》で生物を生贄にしつつ、《不気味な腸卜師》でドローに変換。最後は《ズーラポートの殺し屋》で相手のライフを削り取る。こんな具合だ。
《萎縮した卑劣漢》はメインから採用を肯定できる墓地対策生物だ。序盤に出してクロックとしながら、相手の墓地利用に睨みをきかせられる。《スカラベの饗宴》も同じく墓地対策で、サイクリングのおかげで無駄があまりない。この2種のおかげで墓地利用デッキにはかなり強い。
《不死の隷従》はメインボードにおける必殺技で、ズーラポートがいる状態で血の座の吸血鬼で全部生贄にする→不死の隷従X=2でワンモアセット、というフィニッシュパターンを作り出す。このデッキにおいては繰り返す悪夢よりも強力なリアニメイト呪文だ。なお、環境柄墓地対策がどのデッキも厚いので、サイド後は全部抜くこともある。
ライフの面でもカードアドバンテージの面でも異常なまでに粘り強く戦えるので、あらゆるデッキに対して泥沼の消耗戦を仕掛けていける。場合によってはデッキをほぼすべて掘り進めることになるので、デモコンは3枚に抑えている。デモコン理論もライブラリーを掘りつくす場合は適用されないのである。多分。
この黒単、派手さはないが勝てるし楽しいデッキだ。他にもたくさんの、本当にたくさんのデッキがペニードレッドフルには存在している。少しでも興味が生まれたのなら、ぜひ一度、この魔境のような天国に気軽に足を踏み入れてほしい。
http://www.kuunmtg.com/entry/2018/06/15/170531
PD界隈では開幕前からローテ入りするカードの候補が大きな話題を巻き起こしていたが、蓋をあけてみると《雲上の座》(と《微光地》)や《繰り返す悪夢》、そして《Demonic Consultation》など、歴史にその名を刻んだ強力カードが複数ローテ入りを果たした。この3種だけでもかなりのインパクトだが、さらに《精神の願望》が使用可能になる可能性もあったのだから恐ろしい。幸か不幸か精神の願望は入ってくることはなかったが、今シーズンの使用可能プールは錚々たるラインナップとなった。
さて、極めて乱暴に現PDに存在するデッキのアーキタイプを分別すると、
【post】【リアニメイト】【その他】
の3つである。無論一言にpostといっても色やコンセプトの違うデッキはたくさんあるし、リアニメイトも同様だが、大筋の戦略は同一なのでこのような区分をしてしまっても大きな問題はないと思う。要は墓地利用デッキと特殊なビッグマナデッキが猛威を振るっているというわけだ。ことリアニメイトについては上述した繰り返す悪夢に加えて、《生ける屍》や《隠遁ドルイド》なども使用可能なため人気が高い。またDemonic Consultation、通称デモコンのおかげで黒いデッキは動きの安定性も高い。おかげでデモコンに関してはカード価格が暴騰しており、なんとローテ入り前の100倍近い値段となった。…元が一円だが。
ではpostとリアニ以外人権はないのかというとそうでもない。例えば赤単アグロは今環境で《ミシュラのアンク》を獲得している。postを含めた低速デッキに対して2ターン目に設置すれば実質2キルになることもあり、凄まじい圧力で相手のライフを削り取る。また、《ラノワールの使者ロフェロス》を主軸にした緑系デッキもあれば、《霊異種》などをフィニッシャーに据えたオーソドックスなコントロールも少数ではあるが存在する。また、トップメタを意識したデッキ、例えば土地破壊主体のデッキや墓地対策をメインから無理なく採用したデッキも生まれている。つまり結局は今環境のPDもビルダーの楽園なのである。どんなカードが使用できようと、PDが素晴らしいフォーマットなことに変わりはない。
せっかくなので、現環境のデッキを一つ紹介。主流のデッキではないが、メタゲーム上位のデッキを打ち負かす程度のパワーはある強力なデッキだ。
クリーチャー:27
4:《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》
2:《組み直しの骸骨/Reassembling Skeleton》
4:《捕らわれの宿主/Carrier Thrall》
4:《ズーラポートの殺し屋/Zulaport Cutthroat》
3:《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》
2:《スカースダグの高僧/Skirsdag High Priest》
4:《マラキールの門番/Gatekeeper of Malakir》
4:《不気味な腸卜師/Grim Haruspex》
呪文:10
3:《悪魔の相談/Demonic Consultation》
2:《スカラベの饗宴/Scarab Feast》
3:《不死の隷従/Immortal Servitude》
2:《吸血の儀式/Vampiric Rites》
土地:23
19:《沼/Swamp》
4:《栄光の砂漠/Desert of the Glorified》
サイドボード:15
1:《スラルの外科医/Thrull Surgeon》
4:《皮裂き/Skinrender》
2:《渇望の時/Moment of Craving》
4:《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》
3:《心臓露呈/Lay Bare the Heart》
1:《夜更かし/Midnight Oil》
強力なデッキと言いながら、とても貧弱な生物のラインナップである。黒単で組まれたこのデッキは、いわゆるハスクやアリストクラッツと呼ばれる類のデッキだ。生物をサクリファイスすることで様々なアドバンテージを得られるように構築されており、各カードがそれぞれに高いシナジーを形成している。
デッキの動きとしては、序盤は《捕らわれの宿主》や《マラキールの門番》などを展開してちまちま殴っていく。《血の座の吸血鬼》や《吸血の儀式》で生物を生贄にしつつ、《不気味な腸卜師》でドローに変換。最後は《ズーラポートの殺し屋》で相手のライフを削り取る。こんな具合だ。
《萎縮した卑劣漢》はメインから採用を肯定できる墓地対策生物だ。序盤に出してクロックとしながら、相手の墓地利用に睨みをきかせられる。《スカラベの饗宴》も同じく墓地対策で、サイクリングのおかげで無駄があまりない。この2種のおかげで墓地利用デッキにはかなり強い。
《不死の隷従》はメインボードにおける必殺技で、ズーラポートがいる状態で血の座の吸血鬼で全部生贄にする→不死の隷従X=2でワンモアセット、というフィニッシュパターンを作り出す。このデッキにおいては繰り返す悪夢よりも強力なリアニメイト呪文だ。なお、環境柄墓地対策がどのデッキも厚いので、サイド後は全部抜くこともある。
ライフの面でもカードアドバンテージの面でも異常なまでに粘り強く戦えるので、あらゆるデッキに対して泥沼の消耗戦を仕掛けていける。場合によってはデッキをほぼすべて掘り進めることになるので、デモコンは3枚に抑えている。デモコン理論もライブラリーを掘りつくす場合は適用されないのである。多分。
この黒単、派手さはないが勝てるし楽しいデッキだ。他にもたくさんの、本当にたくさんのデッキがペニードレッドフルには存在している。少しでも興味が生まれたのなら、ぜひ一度、この魔境のような天国に気軽に足を踏み入れてほしい。
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